恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「身に余るお言葉を、どうもありがとうございます。チームの皆に、必ず共有させていただきます」

 慌ててそう紡ぎ、私も頭を下げる。同時に、私はあの日のことを思い出した。

 あの日、私は怖かった。そんな私を支えてくれたのは、迷う私に指示を出してくれたのは、龍臣さんだ。
 彼がいたからこそ、この家族の命を繋ぐことができたのだ。

 龍臣さんは、ベイショアERに必要な人だ。改めて、そう強く思う。

 三人は手を繋ぎながら、微笑み合って病院のエントランスを出て行った。

 父親と母親が、去り際にこちらを振り向き会釈してくれる。
 私は会釈を返しながら、彼らの命が輝いているように感じだ。

 あの命が繋がれたのは、龍臣さんのおかげ。
 フライトドクターの彼が、私を導いてくれたからだ。

『そこに助けられる命があるなら、俺は助ける。それが医者の務めだ』

 そんな使命感を持つ彼は、ベイショアERにいなくてはならない人だ。

 彼と離れがたい気持ちはもちろんある。
 だけど、私の私情で彼をベイショアERから失わせるわけにはいかない。
 彼にはこれからも、たくさんの命を救う救急医で――フライトドクターでいてほしい。

 私は三人の去っていたほうを見ながら、決意とともに手元に戻ってきたお守りをぐっと握りしめた。

 龍臣さんはここで救急医を続けるために、私と結婚した。だったら私は、その願いを叶えるべきだ。

 彼のために、彼が私にしてくれたように、私は彼と離婚をする。
 それが私の愛で、彼への恩返しだ。

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