恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 芦田先生から祖母の容態や術後の経過について説明を受けた後、ICUにいる祖母のもとへ向かった。
 顔色はよく、普通に眠っているように見える。

「おばあちゃん……」

 私はつい、そうぽつりとこぼした。

 祖母は容態が落ち着くだろう四日を目安にICUを出て、ベイショアERの緊急入院用の病床へ移る。
 その後は回復の度合により、本棟の一般病棟に移るか帰宅になるかが決まるという。

 帰宅できるようになれば一番いい。だけどそれは、単なる私の願いだ。
 患者の年齢や体力状況からある程度の回復予測はつくが、それも個人差が大きい。それに後遺症が残る可能性や、再発の可能性だってある。

 もし、このまま祖母が帰ってこなかったら?
 そんな未来を、つい想像してしまう。

『そろそろ祖母孝行、考えたら?』

 昼間に夏子に言われた言葉が、脳内でリフレインした。

「ごめん。私、おばあちゃんの願い、叶えられないかも」

 祖母は私の花嫁姿を楽しみにしていると、あんなに伝えてくれていた。私だって、いつかはそうなれたらいいなと思っていた。

 にもかかわらず、私は恋を後回しにしてきた。今の状況で、花嫁姿を見せられるわけがない。

 祖母不孝だ。中学生の頃から、両親を亡くしたあの日から、祖母は私を大切に育ててくれたというのに。

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