恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「龍臣さんは、救急の現場になくてはならない人です。彼はクールでわかりにくいけれど、誰よりも熱い使命感を持って仕事をしています。自分が患者を救うのだと、強い意志を持って仕事に臨んでいる人です。だから――」

 彼が好きだから。

 彼に、ベイショアERの救急医でいてほしいから。
 フライトドクターとして、多くの命を救ってほしいから。

 私はお兄さんの顔をじっと見て、はっきりと告げた。

「龍臣さんと離婚します。ベイショアERも辞めます。その代わり、龍臣さんがベイショアERに残れるようにしてください。私は、どうなっても構いませんから」

 私は深く頭を下げた。

 私が悪者になればいい。
 龍臣さんを騙して結婚させたということにして、その責任を負って辞めたと思ってもらえれば、きっと龍臣さんはベイショアERに残れるはずだ。
 そう、彼への手紙にも残してきた。

 だが、それでいいと決めたはずなのに、わがままな本音が胸の中で暴れ出す。

 離婚なんてしたくなかった。
 もっとずっと、彼のそばにいたかった。

 決して口にできないその思いが、私の視界を歪ませる。
 だけど私は奥歯を噛み占め、涙をこらえて頭を下げ続けた。

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