恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
兄さんは乾いた笑みをこぼしてから、こちらを見た。
気味が悪いが、その顔は優しさを孕んでいるように見える。
「少なくとも、僕の周りはそうだ。だから、詩音さんがそういう人かどうか、試させてもらった。ベイショアERに研修に来られるよう父さんを仕向けたのも、詩音さんがどういう人か知りたかったからだよ」
兄さんの言葉を脳内で整理する。
兄さんはただ、詩音が金目当ての女ではないかどうかを試していただけ、ということだ。
「お兄さんは龍臣さんを宇田川病院に引き入れたくて、私たちの結婚を疑っていたんじゃないんですか?」
詩音が聞くと、兄さんは笑って答えた。
「そんなこと、はなから思っていないよ。龍臣の使命感も、救急医療に対する思いも、全部知っているからね。龍臣に宇田川病院に来てもらうって君に言ったのは、君がどれだけ龍臣の思いを理解して、龍臣のために動けるか、知りたかっただけ」
「それじゃあ、お兄さんは……」
詩音はそこで言葉を止めてしまう。
すると、兄さんがもう一度くすりと笑った。その眼鏡の奥の瞳は、優しく細められている。
「言ったでしょう? 僕は、龍臣が心配だっただけ」
……なんなんだよ。
俺は心の内でそう毒づいた。
俺はこの人の、こういうところが嫌いだ。いつも紛らわしい。
気味が悪いが、その顔は優しさを孕んでいるように見える。
「少なくとも、僕の周りはそうだ。だから、詩音さんがそういう人かどうか、試させてもらった。ベイショアERに研修に来られるよう父さんを仕向けたのも、詩音さんがどういう人か知りたかったからだよ」
兄さんの言葉を脳内で整理する。
兄さんはただ、詩音が金目当ての女ではないかどうかを試していただけ、ということだ。
「お兄さんは龍臣さんを宇田川病院に引き入れたくて、私たちの結婚を疑っていたんじゃないんですか?」
詩音が聞くと、兄さんは笑って答えた。
「そんなこと、はなから思っていないよ。龍臣の使命感も、救急医療に対する思いも、全部知っているからね。龍臣に宇田川病院に来てもらうって君に言ったのは、君がどれだけ龍臣の思いを理解して、龍臣のために動けるか、知りたかっただけ」
「それじゃあ、お兄さんは……」
詩音はそこで言葉を止めてしまう。
すると、兄さんがもう一度くすりと笑った。その眼鏡の奥の瞳は、優しく細められている。
「言ったでしょう? 僕は、龍臣が心配だっただけ」
……なんなんだよ。
俺は心の内でそう毒づいた。
俺はこの人の、こういうところが嫌いだ。いつも紛らわしい。