恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
向かった先のバーで扉に手をかけた時、中から詩音の声が聞こえた。
『龍臣さんにそんなつもりはなかったのかもしれませんが、それでも私は、彼のことを本当に好きになってしまいました』
俺はつい、手を止めてしまった。
詩音が俺のことを好き。そんなこと、あり得ないと思っていたから。
だが続けられた彼女の言葉は、ひどく残酷なものだった。
俺をベイショアERに残すために離婚する、と聞こえたのだ。しかも、詩音はベイショアERを辞めるという。
そんなのダメだ。絶対に、許さない。
怒りに震える手でドアノブを回し、中に入る。すると、頭を下げる詩音が見えた。
『どうかお願いします、お兄さん』
すべて、兄さんの仕業だった。
怒りのままにこぶしを握ると、手にしていた離婚届がくしゃりと音を立てた。
だけど、兄さんは余裕の笑みをこちらに向けた。
だから、俺は焦りと怒りを孕みながらも、必死に紡いだ。
『離婚も退職もさせない。俺もベイショアERを辞めない。それだけだ』
結末を知ってから思い出すと、なんとも滑稽である。
だが結果として、彼女と想い合っているということがわかった。その点は、兄さんに感謝してもいい。
『龍臣さんにそんなつもりはなかったのかもしれませんが、それでも私は、彼のことを本当に好きになってしまいました』
俺はつい、手を止めてしまった。
詩音が俺のことを好き。そんなこと、あり得ないと思っていたから。
だが続けられた彼女の言葉は、ひどく残酷なものだった。
俺をベイショアERに残すために離婚する、と聞こえたのだ。しかも、詩音はベイショアERを辞めるという。
そんなのダメだ。絶対に、許さない。
怒りに震える手でドアノブを回し、中に入る。すると、頭を下げる詩音が見えた。
『どうかお願いします、お兄さん』
すべて、兄さんの仕業だった。
怒りのままにこぶしを握ると、手にしていた離婚届がくしゃりと音を立てた。
だけど、兄さんは余裕の笑みをこちらに向けた。
だから、俺は焦りと怒りを孕みながらも、必死に紡いだ。
『離婚も退職もさせない。俺もベイショアERを辞めない。それだけだ』
結末を知ってから思い出すと、なんとも滑稽である。
だが結果として、彼女と想い合っているということがわかった。その点は、兄さんに感謝してもいい。