恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 交通事故の出動の後、気が抜けて彼女の膝に頭を預けてしまったくらいに。
 あの膝枕での浅い眠りの中、詩音とまだ見ぬ子どもと三人で手を繋いで生きる、幸せな夢を見てしまったくらいに。

 俺は、どうしようもなく彼女が好きなのだ。

 彼女は俺の愛の宣言に驚いたのか、こちらを見て固まってしまう。

 ああ、なんてかわいいのだろう。

 俺はどうしても彼女に触れたくなり、立ち上がった。するとなにを思ったのか、彼女も慌てて立ち上がる。

「お皿洗いは、私がやりま――」

 言いかけた彼女の腕を引き、腕の中に閉じ込めた。

「皿洗いなんて、後でやっておく。それよりも今は、詩音に触れたい」

 すると詩音は瞳を見開き、頬を真っ赤に染める。

「詩音が俺の妻だということを、確かめさせてくれ」

 彼女を見つめてそう言うと、その瞳が徐々にうるむ。その様子に、俺の欲情が掻き立てられてゆく。

 なにも言わない詩音にキスを落とすと、彼女はそれに応えるように柔らかな吐息をもらす。
 そのまま力の抜けてしまった愛しい彼女を抱き上げ、俺は彼女を自分のベッドルームへといざなった。

 彼女を全部愛することのできる、夫の権利を行使するために。

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