恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 彼はネイビーブルーのスリーピーススーツを着ていた。テーパードのパンツが彼の長い脚を引き立たせている。
 いつもフライトスーツかスクラブ姿でVネックばかりの彼の首元には、今日は水色のシャツの襟と茶色いネクタイが覗いていた。

 いつもと異なる、ぱりっとした着こなし。春の日差しを浴びて光沢を放つ彼のスーツ姿は、素直にかっこいいと思う。

 私、この格好で大丈夫だったかな。

 急に心配になり、つい服装を見下ろす。そのままおろおろしていると、彼の声が降ってきた。

「悪い、待たせたな」

「いえ、私もついさっき来たばかりですので」

 言いながら、顔を上げる。彼はいつもの無表情で、そこに立っていた。

 先ほどはかっこいいと思ってしまったけれど、彼はもとよりこういう人だ。
 無表情で、冷徹な人。そう思うと、急に思考が冷静になる。

「この服装で、よかったでしょうか?」

 尋ねると、彼はふっと小さく息をもらした。

「ああ、似合っていると思う。スカート姿は初めて見るが、かわいらしいな」

 な……っ!

 つい、どきりと胸が反応してしまった。まさか、宇田川先生がそんなことを言うなんて。

 いや、勘違いしてはいけない。彼はこのワンピースがかわいらしいと言っただけ。普段パンツスタイルの私がスカート姿だから、珍しいだけだ。

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