恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 その中で、彼女の口から『花嫁姿』という言葉が紡がれた。
 詩音の祖母、時子さんは彼女の花嫁姿を見たいと言っているらしいのだ。

 つまり、時子さんは詩音に結婚してほしいと思っているのか。

 そう心の中でつぶやくと、〝結婚〟という言葉が胸に引っかかった。

『どうしても宇田川病院に来たくないのなら、そっちで結婚でもしてみろ。家庭があるなら、この話はなかったことにしてやってもいい』

 父に、そんなことを言われていたことを思い出したのだ。 
 そうだ、彼女と結婚すればいい。事実さえ作ってしまえば、彼女を守る理由にもなる。

 俺はこの機を逃すまいと、彼女に結婚を考えている相手がいないことを確かめ、結婚を迫った。
 家のことは完全に建前だったが、彼女はそれで俺の言い分に納得してくれた。

 そうして今日、婚姻届を提出し、正式に彼女と〝夫婦〟になった。

 ――必ず、彼女を俺が守る。

 まだ緊張したまま食事に手を伸ばす彼女に、俺は再度そう誓う。

 やがて食事を終えると、俺はさっそく次の約束を取りつけた。

「三日後、同居開始だ。準備もろもろ、よろしく頼む。勤務後に合うように、詩音の家まで車で向かうから」

 婚姻届を提出した時に決めた、同居開始日。俺の休みで彼女の日勤日だ。

 それまでに、彼女の居心地のよい部屋をつくっておこう。
 俺はそう思いながら、「はい」と頷く彼女を見て、静かに心を躍らせていた。

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