恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 わずかな不安と期待を胸に、祖母の病室に入る。
 祖母は相変わらず、満面の笑みで私たちを迎えてくれた。

「いらっしゃい、詩音、龍臣先生」

 そう言うとベッドを起こして起き上がり、どうぞと私たちを中へ促す。

 祖母はいつの間にか、彼のことを『龍臣先生』と呼ぶようになった。祖母なりに親しみを込めてのことらしい。

「そうだ、前に相談されていた結婚式のことなんだけれど――」

 祖母は私たちがベッドサイドの椅子に腰掛けると、すぐににこにこして話し出した。

「おばあちゃんね、詩音の白無垢姿よりも、ドレス姿のほうが見たいなあと思うの。神前式も素敵だけれど、おばあちゃんは西洋のドレスを着たことがないから」

 祖母はどこかうっとりとした様子でそう言うと、はっとしたように私に視線を向けた。

「あ、もちろん最終的に決めるのは詩音よ? おばあちゃんの意見は、参考程度にしてちょうだい。一生に一度の、思い出になるんだから」

 真剣な瞳を向けられ、私の胸はちくちくと痛む。それでも、私は祖母に笑顔を向けた。
 祖母に偽装の結婚だとバレて、がっかりさせたくはない。

「私もウェディングドレスがいいと思っていたんだよね」

 すると、龍臣さんが口を開いた。

「俺も詩音のドレス姿が見たいと思っていたんですよ。カタログ持ってきたので、一緒に見ませんか?」

 龍臣さんはそう言うと、いつの間に用意したのか鞄からドレスのカタログを取り出した。

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