恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 これ以上一緒にいてはダメだ。
 そう思うのに、彼の優しさを受け取りたいと思ってしまう自分がいる。

『でも……』

 立ちすくんでいると、龍臣さんに強引にソファへといざなわれた。

 彼と隣同士に座る。すると、龍臣さんは私の背中をそっと撫でてくれた。

 それがどうやら気持ちよかったらしい。
 目が覚めると頭の下に彼の膝があって、見上げると整った彼の顔が間近にあって……。

 ――あああああ! これ以上は思い出してはいけない。

 その後、慌てて飛び起きて朝ご飯の支度をして、寝ぼけている彼をそのままに私は家を飛び出した。

 きっと今日も、彼は私を迎えに来るだろう。
 仕事時なら平然としていられたけれど、終業後はプライベートだ。その時、私はいつも通りでいられる?

「ベイショアERナースステーション、集合」

 横居さんの声にはっとした。
 彼女がナースステーション全体に号令をかけるのは、全体連絡がある時のみだ。

 私はかぶりを振って余計な思考をそぎ落とし、デスクから立ち上がった。
 頭を仕事モードに切り替えて、ポケットに忍ばせたお守りを握る。

 今日も冷静に、できること精いっぱいこなして、目の前の命を救うんだ。

 そう心に誓いつつ、横居さんのいる受付に向かった。
 重要な患者情報の共有でもあるのだろう。

 だが、途中で足が止まってしまった。思考も停止してしまう。

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