恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 嘘、なんで……。

「今日から研修でベイショアERに入ることになった――」

 横居さんの隣にいるのは、スクラブに白衣を羽織った姿のあの人だ。

「初めまして、宇田川鷹臣です。救急の第一線であるここベイショアERで勉強させもらうため、やってきました。新人をこきつかうように、なんでもやらせていただけると助かります。どうぞよろしく、ベイショアERのみなさん」

 お兄さんは優しくにこりと微笑む。
 龍臣さんに顔は似ているが、物腰柔らかそうな彼の笑みに、ナースステーション内が色めきだった。

 すると、若手の女性看護師が申し訳なさそうに声をあげる。

「あの、失礼ですが宇田川先生は――」

「ああ、お察しの通り私は龍臣の兄です。区別するためにも、私のことは『鷹臣先生』と呼んでくださるとうれしいです」

 ウィンクとともにそう返され、彼女は小さく「キャー」と叫ぶ。

「宇田川先生も、このくらいにこやかならいいのに」

 そんな誰かのつぶやきが聞こえてきたが、私の胸の中はひどくざわついていた。

 このタイミングで、しかもあの宇田川病院から、わざわざこのベイショアERに研修に来るなんて……。

 きっと、ただの研修じゃない。
 そう直感してしまい、胸を刻むリズムが嫌なふうに速まってゆく。

 彼から視線を逸らし続けていると、横居さんが再び口を開いた。

「ベイショアERの案内は、守山さんにお願いします」

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