恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
ざぶーん、ざざーん。
波が静かに、砂浜に寄せては返している。
ここは、祖母の家からほど近い浜辺だ。夕日を反射した海は、空と同じくらい真っ赤に染まっている。
先ほど、祖母の葬儀を終えた。
私は空を見上げていた。祖母は、父と母に会えただろうか。
「詩音……」
喪服姿の私の手をそっと握ってくれたのは、龍臣さんだ。彼も、黒の礼服に身を包んでいる。
「ありがとうございました。色々と」
私は彼に頭を下げた。
彼とは偽装の関係だ。私たちの間に愛はない。
だけど、龍臣さんは心が空白状態の私に寄り添い、葬儀からなにから、すべてを隣で私を支えてくれた。
契約上の夫。そうだとしても、彼がいてくれてよかった。
私ひとりでは、祖母を喪ったショックで冷静に動くことができなかっただろう。
私は反対の手に握っていた、祖母のお守りに視線を移した。
「ここ、子どもの頃によく来たんです。近所の子と一緒に、水切りとかして遊びました」
すると、龍臣さんはくすりと笑みをこぼした。
「その話、時子さんから聞いたことがある」
「え……?」
つい、彼のほうを見る。彼は遠くの海を眺めるように、目を細めていた。
「時子さんは俺が病室に伺うと、いつも詩音のことを楽しそうに話してくれた。幼い頃、テトラポットに登って下りられなくなったとか、すぐ後ろにいるのに自分を探して泣いていたとか」
波が静かに、砂浜に寄せては返している。
ここは、祖母の家からほど近い浜辺だ。夕日を反射した海は、空と同じくらい真っ赤に染まっている。
先ほど、祖母の葬儀を終えた。
私は空を見上げていた。祖母は、父と母に会えただろうか。
「詩音……」
喪服姿の私の手をそっと握ってくれたのは、龍臣さんだ。彼も、黒の礼服に身を包んでいる。
「ありがとうございました。色々と」
私は彼に頭を下げた。
彼とは偽装の関係だ。私たちの間に愛はない。
だけど、龍臣さんは心が空白状態の私に寄り添い、葬儀からなにから、すべてを隣で私を支えてくれた。
契約上の夫。そうだとしても、彼がいてくれてよかった。
私ひとりでは、祖母を喪ったショックで冷静に動くことができなかっただろう。
私は反対の手に握っていた、祖母のお守りに視線を移した。
「ここ、子どもの頃によく来たんです。近所の子と一緒に、水切りとかして遊びました」
すると、龍臣さんはくすりと笑みをこぼした。
「その話、時子さんから聞いたことがある」
「え……?」
つい、彼のほうを見る。彼は遠くの海を眺めるように、目を細めていた。
「時子さんは俺が病室に伺うと、いつも詩音のことを楽しそうに話してくれた。幼い頃、テトラポットに登って下りられなくなったとか、すぐ後ろにいるのに自分を探して泣いていたとか」