君にメノウを贈る時
琥珀は珊瑚の方をチラリと見た。ミディアムの柔らかそうな黒髪。パッチリとした目。白い肌。タイツで隠されている足。クラスの中で一番と言っていいほど、成長している胸部。制服からふわりと漂う花のような香り。その全てが琥珀の心拍数を上げている。

(このまま、終点まで二人で行けたらいいのに。終電逃すまで遊んで、二人でゆっくり帰れたらいいのに)

叶うことのない願いを琥珀は心の中で呟く。電車が駅に着いた。願いが虚しさに染まる。珊瑚は迷わずに電車を降りていく。琥珀もあとに続いた。

「寒いね〜……」

珊瑚がマフラーを首に巻き付ける。淡いピンク色のマフラーは、珊瑚によく似合っている。つい琥珀は珊瑚の方を見てしまう。

「どうかした?」

珊瑚が琥珀の方を振り返る。琥珀は目を逸らした。

「別に」

雪が薄っすらと積もった道を二人で歩く。会話はない。琥珀の鼓動だけがうるさかった。



琥珀の性格を一言で表すのなら天邪鬼である。素直になれず、心とは裏腹なことをいつも言ってしまう。「ありがとう」も「ごめんね」と素直に言えない琥珀は、どこか人から距離を取られていた。
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