君にメノウを贈る時
琥珀の頭に、春からイギリスへ旅立つ珊瑚の姿が浮かんだ。



月曜日。学校がまた始まる。

琥珀はソワソワしながら駅へと向かう。駅のホームにはすでに珊瑚がいた。琥珀は足早に彼女に駆け寄る。

「一!」

「琥珀。おはよう。時間通りに来るなんて珍しいじゃない。明日は大雪かしら?」

いつもの琥珀なら、「うるせぇよ、馬鹿!」と言っていただろう。しかし今日は違う。この数分間だけ、素直になろうと決めたのだ。

「これ、やるよ。俺からの餞別」

琥珀は箱を手渡した。珊瑚が首を傾げながら受け取り、中を見て「わぁ!」と声を上げる。メノウのブレスレットだ。

「イギリスでも頑張れよ!」

琥珀が笑いかけると、その背中に衝撃が走った。珊瑚が彼の背中を思い切り叩いたのだ。

「琥珀も頑張ってね!」

冬休みがもうすぐ始まる。そして、あっという間に別れの春を迎える。珊瑚との別れはすぐそこだ。

切ない胸の痛みを覚えながら、琥珀は電車を待った。
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