ぼくと世界とキミ

「……ロイ」

声が聞こえる。

この声を知っている。

どんなに望んだだろうか。

祈っただろうか。

もう一度会いたい。

抱きしめたい。



眩しい太陽の光の中、ゆっくりと目を開く。

そこには……失ったはずの愛しい彼女の姿があった。

「ロイ、みんな待ってるよ!行こう!」

彼女はそう言って笑うと、俺に向かって手を差し伸べる。

……そうか、全部夢だったんだ。

今までの悲しい悪夢の様な出来事は、全てただの夢だった。

……なぜなら彼女がここに居る。

……俺に手を差し伸べている。

初めて会った時と少しも変わらない……天使の様な笑顔で。

「セリア」

愛しい彼女の名を呼び、そっと手を伸ばした。
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