ぼくと世界とキミ
「この世界はもうすぐ滅びます」
「……はぁ?」
そのまたしてもいきなりな展開に、全く頭がついていかない。
……滅びる?
……この世界が?
……って事は伝説って本当だったのか?
瞬く間に様々な考えが混乱する頭の中を駆け巡る。
「で、でもどうして……」
「この世界を創造する力。この世界、全ての命の源……《マナ》」
俺の言葉を遮って女がそう答えたその瞬間、心臓がドクンと激しく鼓動を打った。
「……っ!」
それと同時にまるで何かを訴えるかの様に、右肩の《痣》がズキズキと痛む。
ギュッと痛む《痣》を押さえたままジルを見ると、やはり《痣》が痛むのだろうか……ジルも脇腹を押えていた。
澄ました顔をしているが、その顔が少し青褪めている。
「私はマナの力を使い……この世界を創造しました。この世界の全てはマナから生まれた」
どうやら俺達は《マナ》という単語に反応している様だ。
女がそれを口にする度に、心臓が壊れそうな程に激しく高鳴り、《痣》は激しい痛みを必死に訴え続ける。
「マナは石の中に閉じ込められた力。私という存在もマナから分かれ出た存在なのです。私とマナは……二つで一つの存在」
そう言って女は静かに目を閉じると、小さく息を吐いた。