妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

 オスカーは鋭い動きで敵を倒していくが、多勢に無勢。少しずつ押されていく。

「オスカー!」

 レオナが悲壮な悲鳴を上げる。

「護衛はどこに行ったの?」

 メレディスは、焦燥感に苛まれながら周囲を見回した。

 雇ったはずの護衛の姿がどこにもない。

 そのとき突然窓が、鮮烈な赤で覆われた。

 メレディスは悲鳴をのみ込んだものの、衝撃で目の前が真っ白になった。

(これは……誰かの血なの?)

 唖然としていると、馬車が激しく叩かれた。野盗が無理やり扉を開けようとしているのかもしれない。

「お嬢様、こちらに!」

 レオナがメレディスを奥に庇い、座席の下に隠しておいた剣を手に取る。しかしレオナひとりで敵を撃退するのは不可能だ。
 絶望的な状況にメレディスは蒼白になり、呼吸すらできなくなる。
 もう駄目だと思ったそのとき。

「加勢に来た者だ。無事か?」

 低い男の声が聞こえてメレディスは驚き、レオナと目を合わせた。

「大丈夫です。あの、あなたは?」
「説明は敵を排除してからだ。外から開けるまで馬車からは出るな」

 男の声はこんなときなのに落ち着いていて、少しの焦りも感じさせない。メレディスに安心感を与えるものだった。

「は、はい」

 メレディスは素直に頷いた。彼に従った方がいいと直感が告げている。

 馬車の外では変わらず戦闘の音が続いる。

「どうなっているのでしょうか」

 レオナが外の様子を窺おうとするが、窓は血で染まっているため、はっきり見えない。

 馬車の中で身をひそめているうちに、外はだんだんと静かになっていった。しばらくすると、扉をノックする音がする。
< 13 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop