妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
オスカーは鋭い動きで敵を倒していくが、多勢に無勢。少しずつ押されていく。
「オスカー!」
レオナが悲壮な悲鳴を上げる。
「護衛はどこに行ったの?」
メレディスは、焦燥感に苛まれながら周囲を見回した。
雇ったはずの護衛の姿がどこにもない。
そのとき突然窓が、鮮烈な赤で覆われた。
メレディスは悲鳴をのみ込んだものの、衝撃で目の前が真っ白になった。
(これは……誰かの血なの?)
唖然としていると、馬車が激しく叩かれた。野盗が無理やり扉を開けようとしているのかもしれない。
「お嬢様、こちらに!」
レオナがメレディスを奥に庇い、座席の下に隠しておいた剣を手に取る。しかしレオナひとりで敵を撃退するのは不可能だ。
絶望的な状況にメレディスは蒼白になり、呼吸すらできなくなる。
もう駄目だと思ったそのとき。
「加勢に来た者だ。無事か?」
低い男の声が聞こえてメレディスは驚き、レオナと目を合わせた。
「大丈夫です。あの、あなたは?」
「説明は敵を排除してからだ。外から開けるまで馬車からは出るな」
男の声はこんなときなのに落ち着いていて、少しの焦りも感じさせない。メレディスに安心感を与えるものだった。
「は、はい」
メレディスは素直に頷いた。彼に従った方がいいと直感が告げている。
馬車の外では変わらず戦闘の音が続いる。
「どうなっているのでしょうか」
レオナが外の様子を窺おうとするが、窓は血で染まっているため、はっきり見えない。
馬車の中で身をひそめているうちに、外はだんだんと静かになっていった。しばらくすると、扉をノックする音がする。