妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

 もしオスカーが無事なら、真っ先にメレディスとレオナのもとに駆け寄ってくるはずだ。そうしないのは、彼の身になにかが起きた可能性が高い。

 同じ考えに至ったのか、レオナの顔色が暗くなった。

「彼なら今手当を受けている。軽症だから心配はいらない」
「……よかった」

 メレディスは緊張を解き、肩をなで下ろした。

「レオナ、オスカーたちの様子を見に行きましょう」
「はい」
「案内する」

 彼は、そう言ってメレディスに手を差し伸べて、馬車から降りるのを手伝ってくれた。

「ありがとうございます」

 騎士らしい大きな手に自分の手を重ねて、ステップに足を延ばす。ところが急に足の力が入らなくなった。

「あっ!」

 メレディスが小さな悲鳴を上げながら崩れ落ちそうになるのを、彼が素早く腕を伸ばし支えてくれた。

「大丈夫か?」
「え、ええ……大丈夫」
「襲撃で動揺しているんだな。馬車の中で休んでいた方がいいんじゃないか?」
「お気遣いありがとうございます。ですが供の者が心配ですので」

 それに倒れそうになったのは、心労からではない。異形症の症状が治まらず、まだ少し麻痺している。
 メレディスの心が憂鬱に沈む。
 
 病の恐怖から立ち直ろうとしているけれど、どうしても不安は拭えない。病状の進行は個人差があるから、いつ動かなくなるのか予測も不可能だ。
 
 あとどれくらい普通の生活が送れるのか、いつ体が灰色に染まってしまうのか。気を強く持っていても、ふとした瞬間にどうしようもなく怖くなる。

「お嬢様」

 メレディスの心境を察したレオナが、心配そうに寄り添った。

「大丈夫よ……案内をお願いします」

 なんとか気持ちを切り替えてレオナに微笑んでから、騎士に向かってお願いする。
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