妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
カイエンのエスコートで再び、歩き始める。
しかし今度は彼の後ろに続くのではなく、隣を歩いている。
メレディスは、いつになく緊張していた。
王太子妃教育を受けた身とはいえ、皆が恐れる氷の王弟の前では、不安を感じずにはいられない。
緊張のあまり、自然と体に力が入る。
けれどしばらくすると、カイエンがメレディスの歩調に合わせてくれていることに気が付いた。
ゆっくりと、異形症の影響を受けた足でも問題ないくらいゆっくりした歩みだ。
(気を使ってくれているのかしら)
けれどカイエンは、誰にでも冷たいという話だったはず。
戸惑っていると、カイエンの声が耳に届いた。
「メレディスは、なぜここに? 王太子の婚約者として、王都で暮らしているのではなかったのか?」
(え?)
メレディスは驚き、口ごもった。
通常初対面の女性に対しては家名で呼ぶものだ。メレディスの場合はカロッサ令嬢か、カロッサ公女になる。ところが彼はごく自然にメレディスと言った。
初対面の関係なのにやけに親し気な態度だし、メレディスの事情も知っているようだ。
(王都の貴族の動向を調べているのかしら)
そうだとしたらカロッサ公爵家は国内でも五指に入る名門の家であるし、メレディスは先日まで王太子の婚約者だったから、カイエンが把握していてもおかしくはないかもしれない。
心の中で強引に納得してから口を開いた。