妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「……どういうことですか? 彼らは村の住民だったのでは?」
「違う。君たちが昨夜宿泊した宿屋の主人と共謀し、王都から来た商人や旅人から荷物を奪っていたんだ。護衛を雇って安心しているところを容赦なく襲撃する。これまで何人もの被害者が出たが救助が間に合わず命を落としてしまっていたので、証言が取れなかった。今回は間に合って、先ほどオスカーから事情を聞くことができた。今、部下が宿屋の主人を捕らえに向かっている」
「そんなことが……信じられない」
強盗が存在するのは分かっていたが、普通の村人が手を貸しているとは思いもしなかった。
カイエンは、憂鬱そうに眉を顰める。
「この辺り一帯は寒さで食物の育ちが悪く、キースリング領以外は慢性的な貧困に喘いでいる。生きる為に悪事に手を染める者も出てくるんだ。」
(好きで悪いことをしているのではなく、生きるために仕方ないということ?)
そういえば、村の人たちは皆痩せていて、とても疲れている様子だった。
宿屋の主人が元気だったのは、犯罪を犯して豊かになったからなのか。
メレディスは重苦しい気持ちになった。
第二の人生を北の地で穏やかに過ごしたいと願っていたけれど、ここは平和なところではないようだ。
「護衛の手当が終わったら出発しよう。この季節は日が落ちるのが早いから、もたもたしていると移動できなくなる」
カイエンの提案に、メレディスは従った。
乗ってきた馬車は戦闘により汚れているが、走るのには問題ない。
周囲をキースリングの騎士たちが護衛してくれるとのことなので、負傷中のオスカーも馬車に乗り込んだ。
扉が閉まり三人だけになると、ようやく緊張が解けてくる。ずっと黙っていたレオナが口を開いた。
「カイエン王弟殿下とキースリングの騎士が来てくれて本当によかったわ。もし間に合わなかったら大変なことになっていた。まさかここまで治安が悪いなんて……公爵家の人間が調査したはずなのに、どういうことなのかしら」