妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
オスカーが浮かない顔で頷く。
「情報が操作されていたのかもしれない」
「操作?」
レオナが怪訝な顔で問い返す。
「情報収集を担当した者が、本当は危ない場所なのに安全で問題ないと報告したんだ」
「まさか! お嬢様に関わることなのに、そんないい加減な調査をするはずがないわ」
レオナは迷いなく否定したけれど、メレディスは血の気が引く思いになった。
「いいえ、オスカーの言う通りかもしれない」
「えっ? お嬢様までどうしたのですか?」
「出発前のベルティの態度を思い出して。私のことを心底恨んでいる様子だった。それに親族の中にも異形症を患った私を家の恥だと嘆く人もいたわ。そんな私のために真剣な調査はしないんじゃないかしら」
手抜きの調査ならまだましな方だ。
(わざと嘘を言っていたのだとしたら……)
危険な目に遭って、そのまま行方不明になってくれた方がいいと思われていたのだとしたら……。
ベルティなら調査報告書を偽装するくらい簡単だ。
被害妄想がすぎているかもしれない。けれどオスカーもレオナも否定しない。ふたりとも可能性はあると考えているのだろう。
「これから向かうリントン村は大丈夫なんでしょうか」
レオナが不安そうに呟く。オスカーが膝の上に地図を広げて村の位置を指差した。
「お嬢様、幸い村はキースリング領都の近くに位置している。安全ではない場合は、状況が落ち着くまでキースリング領都に滞在するのはどうでしょうか?」
オスカーの提案が最適なのだろう。それでもメレディスはすぐには応えられなかった。
「キースリング領都は、王都にも引けを取らないくらい栄えているのよ。住民も多はずだわ。その中には異形症について詳しい人がいるかもしれない」
病が進行して周囲に隠せなくなったとき、公爵家に居た頃のように排斥される恐れはないだろうか。
せっかく立ち直ってここまで来たのに、また同じ苦しみを味わうなんてごめんだ。きっと耐えることができない。
答えが出せないまま馬車はリントン村に到着した。