妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

 オスカーが扉を開くと、カイエンが待ち構えていた。

「メレディス、手を」

 彼が大きな手を差し出しメレディスを支える。冷酷と聞いていた彼の紳士的な振る舞いに、一瞬戸惑ってしまった。

「……ありがとうございます」
「当然のことだ」

 カイエンの支えでふわりと地面に足を下ろした。

「ここがリントン村だ」

 カイエンの声に誘われるように、辺りを見回す。整備されていない渇いた大地に藁ぶき屋根の小さな家がまばらに建ち並んでいる。中央の広場には井戸があるが、人(ひと)気(け)はない。

 思っていた以上にずっと寂れた印象だ。

(北部にしては環境がよく、療養に適しているというのは嘘だったのね)

 もう疑いようがない。公爵家に騙されていたのだ。

「ここはお嬢様が暮らせる環境ではないですよ。療養どころから体調が悪化してしまうわ!」

 続いて馬車を降りてきたレオナが絶望の声を上げた。メレディスも言葉が出てこない。

 しばらくすると、カイエンが近づいてきた。

「自分の目で見て気は済んだか?」
「……はい」
「キースリングに行くしかない」

 メレディスは、少し迷ってから結局頷いた。

「キースリング領でお世話になります」

 もう少ししたら日が沈み辺りは夜の闇に染まる。ここに留まることに不安を感じた。

 野盗の襲撃を受けたからか、特に敏感になっている。
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