妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「これ以上時間を無駄にはできない」
カイエンはメレディスたちを馬車に乗るよう急かし、自分は馬に跨った。
彼の冷淡な態度を見て思った。
きっと初めからこうなることが分かっていたのだろう。
メレディスたちは再び馬車に乗り込み、キースリング領都に向けて出発した。
カイエンが用意してくれた屋敷は、領都の一等地。領主の城の程近くにあった。
カイエンの側近や高級官僚が住む、高級住宅地とのことだ。
メレディスが暮らす屋敷は規模こそ控えめだが、屋敷は優美で美しく、庭園は美しく整えられていた。屋敷正面には、繊細な彫刻でできた噴水がキラキラと水しぶきを上げている。
「噴水の水は凍らないのかしら?」
「魔道具で凍らないようにしてある。この屋敷は先代辺境泊の姉が暮らしていた屋敷で、あの噴水は彼女が造らせたものだ。気に入らないなら撤去していい」
メレディスがふと疑問を口にすると、カイエンがすぐに答えた。
「いえ撤去だなんてとんでもない。とても素敵な噴水だと思います」
「気に入ったのならいい」
彼は屋敷に到着すると、自ら案内をはじめた。素晴らしい気遣いだ。しかしメレディスはすっかり恐縮してしまっていた。
「あの……このような素晴らしい屋敷を貸して下さりありがとうございます。カイエン王弟殿下はお忙しいでしょう。私たちは大丈夫ですので、お戻りください」
これ以上、カイエンに負担をかけたくなくて、メレディスは丁寧に言った。
「忙しくないから大丈夫だ。連れてきた以上最後まで責任を持ちたい」
しかしカイエンが帰る気配はない。
メレディスは戸惑いレオナと目を合わせる。そのときカイエンの元に部下の騎士がやって来てなにかを報告しはじめた。
カイエンの視線が外れた隙に、レオナがそっと耳打ちした。