妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「王弟殿下って意外と面倒見がいいですね。今日初めて会ったばかりなのに、こんな立派なお屋敷を準備して自ら案内してくれるなんて、相手が王弟殿下でなければ詐欺を疑うほどの厚遇です」
「ええ。申し訳ないくらいよくして下さっているわ」
「お嬢様、本当に王弟殿下とは初対面なんですよね?」
「ええ。私が王太子殿下と婚約してから、カイエン王弟殿下が王宮を訪れたことはないわ。遠目で見たことすらないの」
カイエンがあまりに親切なので、レオナは何かあると疑っているようだ。
しかしそう言われても、本当に何の接点もないのだ。
「もしかして、お嬢様にひと目惚れをしたとか?」
「まさか! レオナ、変なことを言わないで。私が王太子殿下の元婚約者だから、気を遣ってくださっているのよ。責任感が強い方なのだと思うわ」
こそこそ話していると、部下との話を終えたカイエンが近づいてきた。
「メレディス。悪いが城に戻らなくてはいけなくなった」
「はい。カイエン王弟殿下、多大な気遣いをいただき感謝いたします。後日改めてお礼をさせてください」
カイエンは少し困ったような表情を浮かべた。
「ずいぶん他人行儀だな。そんなに改まる必要はないのに」
「え?」
メレディスは戸惑い瞬きをしたが、すぐに理解した。
(私が甥の元婚約者で、親族になるはずだったからね)
「ですが、私は既に公爵家も離れています。あまりに気安い態度はご無礼になるかと」
「公の場でもあるまいし、普段のように気楽にしていい」
(普段?)
メレディスは戸惑い僅かに首を傾げた。
「……あの、私たちは今日が初対面ですよね?」
カイエンの口ぶりが、まるで前から親しかったように感じる。
(そんなことがあるわけないのに)
ところが今度は、カイエンの方が、戸惑いの目をメレディスに向けた。