妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
彼女はベルティ・カロッサ。メレディスの母親違いの妹だ。
栗色の波打つ髪に、緑の瞳。しなやかに動く姿は、羨ましくなるくらい健康的な美しさに溢れている。
地味な濃紺の旅装束に、冴えない顔色をしたのメレディスとは対照的だ。
ベルティは、メレディスの前で立ち止まると、拗ねたような表情を浮かべたになった。
「お姉様、出発するなら私に知らせて頂かないと!」
「ごめんなさい。迷惑をかけたくなかったから、声をかけなかったの」
彼女はメレディスの病を誰よりも恐れ、顔を見るのも嫌っていたから、から、まさか見送りくるに来るわけがないと思っていたのだ。
(会うのはこれがが最後になるかもしれないから、来てくれたのかしら)
親しい姉妹ではなかったけれど、家族の情が少しは残っていたのかもしれない。
「ベルティ、来てくれてありがとう」
微笑むメレディスに、ベルティは楽しそうに目を細める。
「気にしないで。それよりも、私、お姉様にお知らせしたいことがあるんです」
「なにかあったの?」
メレディスは首を傾げた。
「ええ。私、お姉さまに代わって王太子殿下の婚約者に選ばれました!」
ベルティが誇らしそうに胸を張る姿を見て、メレディスは驚愕して息を飲のんだ。
(ベルティが王太子妃に? どうして……)
王太子妃になるには、家柄と身分だけではなく、本人の高い資質が求められる。淑女としてのマナーや、王家の一員として外交を担うための語学や歴史の知識など。メレディスは寝る間も惜しんで五か国語を身に付けつけ、自国だけでなく近隣諸国の歴史や文化を深く学んだ。
その努力の末に、王太子の婚約者という栄光の地位を掴んだのだ。
しかしベルティは、メレディスと違い幼い頃から勉強を嫌いから逃げていた。彼女は享楽的な性格で、あまり物事を深く考えない。美しくて愛想があるので結婚相手には困らないだろうが、王家に入るとなるとのは話はが別だ。
王国内には身分と教養が高い令嬢が他にもいる。そんな中でベルティが選ばれるのはあまりに不自然なことだった。