妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

 それから五年。まさか街道の野盗退治の中でメレディスと再会するとは思ってもいなかった。

 豊かな黄金の髪に透き通る翡翠の瞳。地味な旅装束姿でも彼女は息をのむほど美しく輝いている。動揺のあまりすぐに言葉が出てこないくらいだった。

『危ないところを助けて下さりありがとうございます。私はメレディスと申します。こちらはレオナ』

 不甲斐なくも再会の挨拶はメレディスからになってしまった。

 しかも彼女はカイエンだと気づかないようで、他人行儀だ。

『最近、この辺りで強盗被害が続出しているため、見回っていた。危ないところだったが間に合ってよかった』

 心からの安堵を覚えていた。本当に彼女が無事でよかった。この日に野盗退治を決断した自分を褒めたいくらいだ。

 すぐに気づいて貰えないのは残念だが、後でふたりきりになったときに打ち明けよう。そうでなくても、しばらくすれば思い出してくれるかもしれない。

 成長したメレディスは、幼い頃の面影を僅かに残すだけだった。 

 天真爛漫だった少女は、気品漂う令嬢になっていた。

 けれど真摯に供を気遣う姿が、記憶の中の彼女と重なった。

 恐怖の中にあっても、人を思いやるその姿は、カイエンが惹かれたメレディスだ。

(ああ……君は変わっていなかった)

 懐かしさと共に、彼女への敬意と愛情が溢れ出す。

 カイエンはメレディスをキースリングの屋敷に連れ帰り、彼女の安全を確保した。

 しかし何度か過去を思い出すきかっけはあったものの、メレディスは最後まで気づかないままだった。
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