妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

「ええ。カイエン様には本当に感謝しているわ」

 カイエンの気配りはメレディスも驚く程だった。

 物質的な援助だけではなく、彼本人も頻繁に薔薇邸に足を運び、機嫌期限伺いをしてくれる。

 毎日のように顔を合わせているうちに、初めは戸惑っていたメレディスも段々と彼に慣れて心を開くようになった。

 礼儀正しく他人との線引きをしっかりするメレディスが、気付けば親しみを込めて『カイエン様』と呼ぶようになっていた。

 不思議なことに、カイエンと話していると、昔からの知り合いのような気がしてくる。滅多に王都に来ないカイエンとは間違いなく初対面なので、そんなことはありえないが。

「カイエン殿下は氷の王弟だなんて冷たくて怖いから女性に逃げられるなんて言われて、女性に怖がられていますけどいましたけど、とんでもない。あんなに優しく尽くしてくれる男性は滅多にいませんよ!」
「そうね。カイエン様は優しいわ。。婚約者がいないのが不思議なくらいね」
「本当に。王族という尊い王族の身分に辺境伯という高い地位。眉目秀麗で優しくて……文句のつけどころがありません。そんなカイエン殿下程の男性に相応しいのはお嬢様くらいですねじゃないですか?」
「レオナ、それは不謹慎よ」

 メレディスは慌ててレオナのおしゃべりを止めた。

 カイエンが素晴らしいのは本当だが、変な噂になるような発言はやめて欲しい。誤解されたら彼の迷惑になってしまう。しかしレオナは口を尖らせる。

「間違ったことは言っていませんよ。それにカイエン殿下は明らかにお嬢様に好意を持っています」

 断言するレオナにメレディスは口ごもった。

 実はメレディス自身もカイエンからの好意を感じている。自意識過剰ではないかかとも思ったが、彼の言動はただの親切とは言い切れないものがあるのだ。

 そんなふうに大切にされていると、メレディスもカイエンに対しての好意が大きくなっていく。

 それでもメレディスは、しっかり線引きをしなくてはならないと分かっていた。

(余計な期待をしてはだめ。私には恋をする資格なんてないんだから)

 幸せに浸る中でも、決して忘れることができない。

 異形症は不治の病で、メレディスはもう普通の暮らしは送れないのだから。

「レオナ、知ってるでしょ? 私は結婚なんてできないわ」

 レオナの目に痛みが走る。それでもすぐに力強く反論した。
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