妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「解毒薬が効いたらメレディスは健康を取り戻すんだな?」
カイエンの胸に希望が広がる。
「はい。新たに毒を飲まなければ、二度と苦しむことはないでしょう」
「分かった。下がっていい」
ダリエが礼をしてから足早に執務室を出て行く。カイエンは控えていたベルトに目を向けた。
「カロッサ公爵家とマティアスはどうしている?」
カイエンは両者について、今でも調査を続けている。特にメレディスが毒を摂取した可能性が出てからは、油断なく監視しているのだ。
「王太子殿下とカロッサ公爵令嬢ベルティ様の婚約が正式に発表されました。ベルティ様は王宮で妃教育を受けています」
「病で捨てた元婚約者の妹が新しい相手だとはな。マティアスも趣味がいい」
カイエンは皮肉に笑った。ベルトは複雑な表情を浮かべて続ける。
「しかしベルティ様の妃教育は順調にはいっていません。王太子妃として必須の語学が苦手で、自国以外の言語を未だに習得していないそうです。また歴史や文化などの基礎的な知識もない為、王太后殿下が婚約者の変更を迫っているとのことです」
王太后と聞いてカイエンの顔が歪む。
彼女は現国王の母で、幼いカイエンを執拗に追い詰めた女性だ。夫が亡くなり王妃の座を退いてからも王宮内で権勢を誇り、政治にまで口を出している。
彼女が反対しているなら、いくら名門公爵家の冷蔵令嬢でも、婚約を継続するのは難しいかもしれない。
「ベルティについての調査は済んだか?」
カイエンは以前、彼女について特に調査をするように指示を出していた。
メレディスが妹について話すときに、浮かない顔をすることに気付き、何かあると察したからだ。
「ベルティ様はカロッサの公爵の私生児で幼い頃は市井で育ちまいた。母親が後妻に収まったことで十年前に公爵令嬢としての地位を得ましたが、メレディス様との関係は良好とは言えません」
「メレディスが受け入れられなかったのか?」