妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

(どうして? お姉様が婚約者だったときは、誰も文句を言わなかったのに。みんなお姉様を褒めてばかりで、マティアス様よりも目立っていたくらいなのに)

 ベルティは幼い頃から、母親違いの姉メレディスが目障りで仕方なかった。

 初めて会ったのは、ベルティの母が公爵の後妻として迎えられ市井の屋敷から公爵邸に移り住んだ日のことだ。

 メレディスは十歳。ベルティは八歳だった。
 
 同じ父親から生まれた娘だというのに、メレディスは何もかもがベルティより恵まれていた。

 黄金の髪に翡翠の瞳の姉は、まるで童話に出てくる王女様のようだった。

 母親は他国の王族という高貴な身分なのに、明るく誰にでも親切で、屋敷の中には彼女を慕う人が溢れていた。
けれどベルティにはメレディスの優しさが、ただの偽善にしか見えなかった。

 母を亡くしたばかりなのに、明るく振る舞う姿が鼻についた。

(健気に振る舞って同情を買おうとしているんでしょ? わざとらしい)

 姉の何もかもが煩わしい。

 彼女はベルティにとって目の上のたんこぶで、出来れば消してしまいたいと常々煩わしく感じていた。[碧髙50.1]

 メレディスもベルティの悪意に気づいたのか、いつの間にか近づかなくなってきた。

 そのように距離を置きながらも特別な争いはなく、姉妹は成長した。

 ベルティは変わらずメレディスを妬み憎んでいたが、何をしても彼女に太刀打ちできないため、諦めていたのだ。

 けれどメレディスが王太子の婚約者になったとき、我慢の限界が訪れた。

 ベルティは煌びやかな王太子マティアスに一目ぼれをして、熱烈に恋していた。それなのに。

 全てを持つメレディスが、ベルティの恋まで奪ってしまう。

(絶対に許せない!)
< 43 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop