妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
なぜ姉ばかりが幸せになるのか。同じ父を持つ姉妹なのにあまりに不公平だ。
ベルティはマティアスを奪うと決心した。婚約者の妹という立場を得られたので、マティアスに近づくのは簡単だった。
幸いなことに、マティアスもメレディスの優秀さが鼻についていたようで、ベルティの誘いに応じてくれるようになった。
関係を持ったことでマティアスの心は更に揺らいだ。
あとひと押しで婚約破棄になる。ベルティは時間をかける気はなかったし、幸運を待つつもりもなかった。
あとひと押しは自分で作り出せばいい。
ベルティには幼い頃に共に過ごした平民の幼馴染がいた。彼は大人になり裏の仕事に就いている。相談すると、病に見せかけて殺せる毒の存在を教えてくれた。
ベルティはあらゆる手を尽くして毒を手に入れて、メレディスのお茶に混ぜて飲ませ続けた。
人を疑うことを知らない姉は警戒せずに毎日お茶を飲み、ベルティが願っていたとおり病に倒れたのだった――。
(あの女を追い出して、全てうまくいくはずだったのに)
ベルティは歯ぎしりした。
忌ま忌ましい姉がいなくなったのに、次から次へと邪魔者が現れる。
(王太后がなんだっていうのよ。所詮老人じゃない)
ベルティは王太子妃に、いずれは王妃になる高貴な身だ。逆らう者は許さない。
全ての怒りを込めて二つ目のカップを叩き割ったそのとき、前触れなく扉が開いた。
次の瞬間、マティアスの悲鳴じみた声が上がる。
「お祖母様!」
ベルティははっとして扉の方に目を向けた。
険しい表情を浮かべた王太后が、ベルティを睨みつけている。