妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「それはよかった。これからも飲み続けるといい」
「ええ。そう言いえば、薬はカイエン様が他国から輸入しているものだそうですね」
「ああ。その国は医学が発展していてよい薬が手に入るんだ。キースリング領の住民のためにも、できるだけ手に入れるようにしている」
メレディスは賞賛感心の眼差しをカイエンに向けた。
「カイエン様は民を思う素晴らしい領主様ですね。尊敬いたします」
心からの言葉を告げると、カイエンが突然立ち止まった。メレディスをじっと見つめて問いかける。
「……本当か?」
「はい、もちろん」
「そうか」
カイエンが心からうれしそうに笑ったな笑顔になった。
端整な顔に浮かぶ甘い笑みに、メレディスの心臓はきゅっと締め付けられた。
鼓動が乱れて、耳が熱い。
(私、緊張しちゃってるわ。カイエン様があまりに素敵だから……)
王太子の婚約者という特殊な立場だったためゆえ、メレディスは男性に対する免疫がない。考えてみるとこれほど蜜に接したのはカイエンが初めてなのだ。
意識するとますます、メレディスの緊張が高まる。彼もメレディスの心情に気づいたのか、ふたりの間を流れる空気はどこかぎこちない。
と言いっても、気まずいのではなくむしろ甘くて……。
(どうしよう。心臓がおかしくなりそう)
メレディスが内心慌てていると「お嬢様!」と声を上げながらレオナが小走りに近づいてきて、緊張した空気は霧散したのだった。
「素晴らしい食事会だった」
彼は名残惜しそうに、薔薇邸を後にした。
メレディスは名残惜しさを感じながら、彼の背中を見送ったのだった。