妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
五章 結婚
 カイエンから求婚された夜から一カ月が過ぎた。

 彼との結婚について、オスカーとレオナは動揺するだろうと心配だったが、彼らはむしろ歓迎し喜んでくれた。
 
カイエンの側近たちも、メレディスを好意的に受け止めてくれた。

『閣下が決めたお相手を否定する者などいるはずがありません!』

 そう宣言し、メレディスを早くも辺境伯夫人のように敬ってくれるのだった。

 カイエンはすぐに婚礼の儀を行うと張り切り、精力的に各種の段取りを進めている。

『メレディスに相応しい最高の式を用意する必要がある。ぬかりなく手配しろ!』

 メレディスの前では見せない厳しさで部下に指示を出し、文官だけでなく騎士まで動員しているため、皆毎日忙しそうだ。

 申し訳なくなりメレディスも手伝おうとしたが、カイエンに治療が先と止められた。

 メレディスの健康はダリエ医師の尽力により日に日に向上し、すっかり健康を取り戻していた。

 リントン村への支援も順調で、長い冬が終わったら自ら視察に出向くことも出来るだろうと楽しみにしていた。

 ところが、ダリエの定期検査の日に思いがけない事態が判明した。

「メレディス様。ご懐妊されています」
「……え?」

 メレディスは呆然と頭の中でダリエの言葉を反芻した。

(懐妊? 私が?……お腹の中に子供がいるの?)

 まさか結婚式の前に妊娠するなど思ってもいなかった。メレディスは動揺して座っていた椅子の背もたれに力なく倒れる。

「メレディス様!」

 慌てるダリエに、メレディス様は大丈夫だと頷いた。
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