妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
信じられない気持ちだが、覚えはある。
(あの夜の……)
カイエンは秘めた想いをぶつけるようにメレディスを抱いた。
メレディスはまだ何も変りがない真っすぐな腹部に手を当てた。
(ここに赤ちゃんがいるなんて信じられない。でも……)
驚いたが、これから家族が増えるのだとう思うと喜びもあった。
「ダリエ先生、毒が子供に影響しませんか?」
それだけが懸念点だ。
「これまでの治療で解毒は済んでいます。後は失った体力の回復に努めなくてはなりません。ご懐妊されたので、より一層の注意が必要になります」
「分かりました。ダリエ先生、これからもよろしくお願いします」
ダリエが帰ってからすぐに、カイエンがやって来た。
彼は多忙だが、時間をつくって毎日様子を見に来てくれる。
「メレ!」
カイエンは出迎えたメレディスの腰をそっと抱き寄せ、頬にキスをした。
たちまち甘い空気が漂い始め、周囲の人々はそっと見ないふりをする。
当たり前の光景となったが、メレディスは未だに恥ずかしくてたまらない。
「カイ。お疲れさまです。今お茶を用意しますね」
「お茶なら俺が淹れるからメレは座っていて」
カイエンはレオナたちを下げると、温室のガーデンチェアにメレディスを座らせた。
それから執事のように慣れた手つきで、カップにお茶を注ぐ。
「今日の茶菓子は隣国の王都で流行りのスフレだ」
「ありがとう。とても美味しそう」
メレディスが喜ぶと、カイエンも笑顔になる。