妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
彼の関心を失えば崩れ去る脆い栄光だ。
今となっては、いつ王宮から追い出されるか分からない。
社交界では、近い内に王太子の婚約者が挿げ替えられると噂が流れ、ベルティを嘲笑する者まで現れた。
冷酷な王太后に、心変わりをするマティアス。そして手の平を返す貴族たちへの恨みで、ベルティはおかしくなりそうだった。
「お姉さまは惨めな私を見に帰ってきたんだわ。馬鹿にして……許せない!」
ベルティは我慢の限界で、ついに叫んだ。
侍女がびくりと体を震わせる。
「お姉さまにこれ以上いい思いをさせる訳にはいかないわ。あの薬をまた飲ませるのよ」
理由は分からないが、姉の体の毒はあまり効いていないようだ。
「耐性ができたのかしら」
しかしあの毒の効果は異形症に酷似していると言っていた。治療手段はなく、完全に治ることはないと。
「きっと量が少なかったのね。もっと飲ませないと」
(もう一度、病気になって絶望すればいいのよ)
ベルティの顔が、狂気に歪んだ。
「それは難しいと思います。辺境伯様のお屋敷では、最高級の食材を仕入れ、メレディス様にお出しする前に全て毒見をされているそうです。屋敷周辺は騎士団が囲み、許可がなければ蟻一匹出入りできないほど厳しく守られています」
侍女の発言にベルティの気分はますます悪くなった。
(辺境伯はどれだけお姉さまを大切にしているのよ!)
なぜ公爵家を追い出された姉が、それほど優遇されるのか。
「お嬢様、メレディス様を害するのは諦めた方がよいかと思います。毒を飲ませrのは不可能です」
侍女は目を伏せながら進言した。
しかしベルティはどうしても納得ができなかった。
諦めるなんて無理だ。
(お姉さまだけを幸せになんてさせない。絶対に……)
姉にだけは負けたくない。
自分が何もかも失うのなら、道ずれにするまでだ。
(毒がだめなら他の手を考えればいいのよ)
ベルティの目が冷たく光った。