妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「完治したわ。異形症ではなかったの」
ベルティの顔色が変化した。
「完治? どういうことです? あれは不治の病でしょう?」
「ええ。でも私はそうではなく毒を飲んで体を壊していたの」
「毒? まさか」
ベルティの体が震えだした。
「どうしてそんなことが分かるのです?」
「調べたのよ。毒がどうやって作られたかも、治療法も見つかったわ」
「つまりお姉様は本当に健康になってしまったのですか?」
傍らのレオナとオスカーが息を飲む気配がした。メレディスは視線で彼らを抑えてから、ベルティに向けて頷いた。
「そうよ。あの毒はもう効かない」
メレディスを傷つけることはできない。
言外にそう宣言する。
「辺境伯と結婚して子供を産んで……この先も幸せに生きる気?」
「ええ。今とても幸せだわ」
ベルティの目が真っ赤に染まった。彼女は立ち上がり、中身が入ったカップを手に取り振りかぶった。
「許せない!」
ベルティは叫びと共に、躊躇なくカップをメレディスに投げつけた。
しかしメレディスの前にオスカーが立ちふさがり、熱い湯もカップも全て引き受けたため、メレディスには埃ひとつ届かなかった。
「邪魔するな!」
ベルティはまるで獣が毛を逆立てるように、メレディスを威嚇する。
「どうしてあんたばかりなの? いつも幸せになるのはあんただけ! 同じ姉妹なのに不公平すぎるわ!」
ベルティは心の淀みを吐き出すように叫ぶ。
「……ベルティ、あなたが私を嫌っているのは知っていたわ。王太子妃の地位を望んでいるのも気づいていた。でもあなたがやったのは犯罪よ」
「だからなに? 私は自分の力で幸せを掴もうとしたのよ?」
「罪を犯したことがばれたら、全てを失うわ。今日どうしてここに来たの? あなたは王太子の婚約者でしょう? 望みは叶ったのではないの?」
「私の望みは、あんたが消えていなくなることよ。ずっと目障りだったのよ。偉そうでいい子ぶって、同じ父から生まれているのに、いつもあんたばかりがいい思いをしていた」