妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

「あなたが気に入らないからといって、人を傷つけてもいいと思っているの?」
「そうよ。あんたなんて石になって死ねばいい!」

 ベルティが怒りと共に叫ぶ。

 メレディスは確信した。

(私とベルティが分かり合うことはない)

 お互い無関心な関係ならまだいい。しかしベルティはメレディスに恨みを持ち執着し続けるだろう。

 今日、彼女がここに来なかったら見逃すつもりだった。けれどこの先もずっと付きまとうのなら、これ以上は黙っていられない。生まれてくる子の安全の為にもけりをつけなくては。

「ベルティ。あなたの発言を夫とお父様に伝えるわ。証拠は取ってあるから言い逃れはできないわよ。あなたがこれまで何をしてきたかしっかり調べることになるわ」
「なんですって!」

 ベルティは激高して立ち上がった。

「これ以上、あなたの犯罪行為を見過ごせないわ」
「……そう。それならなんとしても止めないとね」

 ベルティは、赤い目でメレディスを睨み、ドレスの合間からナイフを取り出した。
 
 メレディスは息をのんだ。

(ナイフを隠し持っていた……ベルティは今日、私を殺しにきたの?)

 まさか彼女がここまでするとは思わなかった。

「お嬢様!」

 オスカーとレオナがメレディスの前に立ちふさがる。その瞬間、ベルティがナイフの柄を捻った。黒い粉が立ち込め息苦しさが襲いかかる。

(毒の霧?)

 あのナイフは武器ではなく魔道具だったのだろうか。

(息が……)

 オスカーとレオナも苦しげにあえいでいる。

 ベルティは苦しむメレディスを見て楽しそうに笑った。
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