妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「お姉さま、私マティアス様に婚約破棄されるわ。勉強が出来ないからって、王太后の差し金よ。彼は他の令嬢を妃に迎えるの」
(だから自棄になってるの?)
「王太子と婚約解消した令嬢がまともな結婚をできると思う? お姉様は幸運だったけど、私はもう終わりよ。でも私だけ終わるつもりはないわ。あんたも道連れにする」
ベルティはナイフを握り直し、煌めく刃をメレディスに向ける。そのとき。
応接間の窓ガラスが砕けて、鋭い矢がベルティの腕を貫いた。
「きゃあ!」
外からの風が、黒い粉を舞い上げる。
「メレ!」
少し息が楽になったと思ったそのとき、焦りの滲んだ声と共に、カイエンがかけつけた。
彼は腕を抑えて倒れているベルティを蹴り飛ばすと、メレディスのもとに駆け寄った。
「メレ、大丈夫か?」
「……ええ、なんとか」
「よかった、間に合って。兄からマティアスの婚約解消を聞いて、嫌な予感がしたんだ。急ぎ戻ってよかった」
カイエンがメレディスの無事を確かめるように抱きしめる。彼の声は少し震えていた。
「来てくれてありがとう……」
メレディスが微笑むと、カイエンはようやくほっとしたようだった。しかし次の瞬間には表情を険しくしてメレディスを抱き上げた。
「今すぐ医師に診てもらう。誰かダリエを呼んでこい!」
騎士達がやってきてレオナたちを助け、ベルティを捕獲する。
メレディスはカイエンによって、安全な寝室に連れて行かれダリエの診察を受けた。
お腹の子への影響はないとのことで、ほっとした。
それでもカイエンの心配は拭えないようだった。
「メレディス、少し休んだ方がいい」
彼はメレディスをベッドに押し込むと、守るように傍らに寄り添う。
「カイ、ベルティは本当に婚約解消になるの?」
カイエンは「そうだ」と頷いた。