妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています
「今朝王宮に呼ばれたのは、マティアスの婚約破棄についての報告と、王太后への処遇について話し合うためだった」
「王太后様の?」
「ああ。彼女は前国王が身分低い愛妾に心を捧げたことで、行きすぎた血統主義になった。身分の低い者を疎み、私生児を許さず排斥しようとした。貴族からもその横暴さに不満が上がっていたんだ」
エーレン王国では一夫多妻が認められている。それなのに正妻以外の子を許さない王太后は、人々の目から見て横暴だと思われても仕方がなかった。
「王太后様はカイに対しても冷たかったのでしょう?」
カイエンは静かに目を伏せた。
「ああ。俺は彼女の夫が浮気した証拠のようなものだ。憎くて仕方なかったんだろう。兄もそれを知っていたが、王太后の権力が強く、止めることができなかった」
「国王陛下は、カイを心配していたのね」
「そうだ。表立って庇うことは出来なかったが、陰で支えてくれていた。そしてそれぞれが力を蓄えていた。今ついに兄の力が王太后を上回ったんだ」
「国王陛下は王太后様をどうするつもりなの?」
「権力から切り離す。王都から離れた離宮に隠居してもらうことになる」
「そう……」
あの誇り高く、何者にも頭を下げることはない王太后が、権力を失うことになるとは思いもしなかった。不可能だと思っていた。
国王とカイエンが、それぞれ力を持ったから成せたことなのだろう。