妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

一年後。

 メレディスは無事出産を終え、生まれてきた男子と共にカイエンに守られて幸せに暮らしていた。
 キースリング城に楽しげな声が響く。

「エリック、こっちよ! ママを見て!」

 整備された芝生の上、母親の声に誘われた幼児がハイハイで進んでいく。

「マーマー」

 可愛い声を聞いてメレディスは目を輝かせ、隣に寄り添う夫に顔を向けた。

「カイ、今の聞いた? エリックがママって言ったわ!」
「ああ、聞いた。君が好きだから一生懸命言葉を覚えたんだ」
「きっとそうね。あっ、来たわね」

 エリックはまだハイハイをし始めたばかりなのに力強い。父親に似て運動神経抜群だ。

「エリック頑張ったね」

 抱き上げると、キャッキャと声を上げてご機嫌に笑う。メレディスに抱き着く力は結構強い。

「エリック力持ちね。将来はすごい騎士になりそうだわ」
「俺が鍛えよう」
「あまり厳しくしないでね」
「君がそう言うと甘くしてしまいそうだ」

 頼りになる夫と可愛い息子に囲まれて、メレディスは心からの幸せを感じていた。

 信頼できるレオナとオスカーとダリア医師。カイエンの側近や騎士に支えられる日々は、辛かった過去の記憶を綺麗に洗い流してくれた。

 今、メレディスはエリックを育てる一方で、辺境伯夫人として城内の管理を担っている。広大な領地を持つ辺境伯家の女主人は過酷な仕事だが、幼い頃から高度な教育を受けてきたメレディスにとっては難しくない。

 カイエンと彼の領民の助けになれるのだと思うと、うれしいくらいだった。
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