妹に陥れられ追放された令嬢ですが、氷の王弟に息子ともども溺愛されています

「レオナもキースリング名前くらいは領都については聞いたことがあるでしょ?」
「はい。これから向かうお嬢様が向かうリストン村の近くですね。少し調べましたけど、キースリング辺境伯の領地は、王都から離れた不毛な土地にも関かかわらず、王都に負けず劣らずかなり栄えているとか。王都にあるものでキースリング領都にないものなどないと言われているのだとか。何か足りないものがあったらキースリング領都に行こうと、オスカーとも話していたんです」

 メレディスは頷いた。

「それがいいわね。キースリング領都は、十年前までは領都とは言えないほど寂れていたそうなの。雪が多くて産業が育たず、隣国に接しているから危険も多い」

 本当に条件が悪い土地なのだ。

「でも国王陛下の年が離れた弟君のカイエン殿下が、臣籍降下をして辺境伯の地位を継いでからは、改革が進み今では国内で最も栄える場所と言われているのよ」

 王太子妃教育でも、キースリング領都の発展についての学んだことがある講義があった。

 今から二年前のことだ。高名な経済学博士を招いての講義で、マそのとき、マティアス王太子も同席していた。が『カイエン王弟殿下のご活躍は目覚ましく、民からはキースリングの中興の祖とも言われています』

 つまらなそうに頬杖をついていたマティアス王太子が、彼はカイエン王弟の名が出ると、鋭い反応をした。をかなり意識しているようだった。

『たしかに目覚ましい業績だが、所詮は北の領主に過ぎない。私はいずれ国王になる。叔父上ですら私に頭を下げることになるのだ』

 カイエン王弟は、マティアス王太子にとって叔父にあたるが、叔父と言いっても年齢はそれほど離れていない。おらず、マティアス王太子が二十一歳なのに対し、カイエン王弟は二十三歳だ。

 同じ王族、しかも同年代でありながら華々しい目覚ましい成果を上げているカイエンに対しを、マティアスはかなり競争心を持っているようだった。強く意識しているようだった。

『たしかに目覚ましい業績だが、私はいずれ国王になる。叔父上ですら私に頭を下げるのだ』

 講師に向けた言葉だったが、まるで自分に言い聞かせているような、強気な発言だった。

 全てを手にしている王太子すら嫉妬を覚えるカイエン王弟について、メレディスは強い関心を持った。けれど彼は北の領地から滅多に出てこないので、一度も顔を見たことがない。

 絵姿もないため、彼については頭の中で想像するしかなかった。
 そう説明すると、レオナは不思議そうな顔をした。
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