政略結婚ですが御曹司に甘く囲い込まれ溺愛されています
ぼんやりと会場を眺めていると、不意に声をかけられた。

「澄佳」

振り向くと、父がいた。

その隣には、見知らぬ男性たち。

スーツの仕立てや立ち振る舞いからして、ただ者じゃないのはすぐに分かる。

「紹介しよう。こちらは――」

次々と名前が告げられていく。

私はそのたびに頭を下げ、笑顔を作る。

慣れているはずなのに、どこか息苦しい。

そして――

「どうだ? 俺の娘は」

父のその一言に、胸がきゅっと締め付けられた。

(また……)

まるで品物みたいに扱われるこの瞬間が、どうしても好きになれない。

視線が集まる。

値踏みされる感覚に、思わず視線を落としかけたその時――

「……綺麗な方ですね」

低く、穏やかな声がした。

思わず顔を上げる。

目の前にいたのは、一人の男性だった。

藤井優斗。
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