まことしやかな恋
それからというもの、俺は初めての想いに翻弄されながら、必死に葵子の隣に居座った。
葵子は好意に鈍いから、世間一般的に見て独占欲でしかない俺の行動も見逃される。強引に葵子の人生に自分を組み込んだ。
高校を卒業しても一緒にいられるように、葵子の進学先や一人暮らしの物件にも干渉。適当で暢気な彼女なら承諾すると踏んで、実際に上手くいった。
ちなみに、俺の進路も葵子が関係してる。時折、葵子は無意識に怪我をした足に触れた。完治したとはいえ違和感はあるのだろう。楽観的で顧みない本人の代わりに、俺が柔道整復師になって葵子の身体を気にすることにした。
無関心な両親は、俺が問題を起こさなければ何も言わない。好きに生きていいと放逐されたのは幸運だったと思う。
こうして、俺と葵子は同じ大学に進学。お互いに徒歩五分圏内で一人暮らしを開始し、高校よりも時間を共有するようになった。
しかし、葵子の人生に深く介入できて安堵したのも束の間、俺は大学生活で頭を抱えることになる。
「(最っ悪……油断した。もう葵子のファンクラブできてる……俺の葵子に群がる虫め)」
大学生の葵子は、見た目に気を遣うようになった。
更には、人と積極的に交流してみようという意思があり、高校の時とは比にならない人数を誑かしていく姿に焦燥に駆られた。
あ〜!! 笑顔安売りしないで!!