まことしやかな恋
˚‧ 𓆸
リビングに積まれたダンボールを開封していく。
窓を開けると日光を透かす青磁色のカーテンが風に揺られ、微かな冬の空気が部屋に流れ込んできた。
「葵子、荷物これだけ?」
「厳選した」
「俺の三分の一だよ?」
「嗣海の荷物は半分以上が植物じゃん」
「え〜、そうだけどさ〜」
それにしたって、俺の恋人は物が少ないよ。
丁寧に梱包されたダンボールを開けて、中身を取り出して、ぺちゃんこに畳む。繰り返しの作業をしながら、俺は同棲に至るまでの経緯を思い出した。
心機一転、二人暮らしできる部屋に引っ越して同棲しよう、と言い出したのは意外にも葵子の方だった。
テキパキと内見を済ませ、部屋を解約、報告がてら互いの両親に挨拶までトントン拍子に行った。俺よりも強引だ。
まだ何の個性もない新居。四角い茶色の箱が床を半分ほど埋めているが、今日からふたりの新しい生活が始まると、浮かれ気分の口元が綻んだ。
「嗣海〜」
「んー、どーしたの?」
「こっちきて」
「はいはーい」
寝室を片していたはずのお姫様が呼ばれたので、窓際のシェルフに並べていた観葉植物を一旦後にし、寝室に向かう。
「な〜にしてた、の……?」
るんるんで顔を覗かせ、困惑した。
「天体観測」
荷物をほったらかしにして、家庭用プラネタリウムを天井に投影し、大の字に寝転んで気ままに鑑賞している恋人。
可愛さが勝ってるのが、なんかムカつくな。