まことしやかな恋
時は過ぎ、進級して二年に上がると、生徒会の悪行が酷いと噂になり始めた。
元々、私立特有の変なルールと権力があって、それが拍車をかけたのだろう。生徒会が自治のようなことを行う始末。謎の権力を振りかざしていた。
表では真面目に優等生をやり、裏ではいじめや万引きなど、やりたい放題だったらしい。
──「この前ね、生徒会の人たちがトイレで田中くん殴ってたの見ちゃった」
──「マジ? またターゲット変わった?」
──「うん。前の子は雨宮くんがやりすぎって止めたんだって」
──「生徒会の良心じゃん。雨宮くん優し〜」
──「次期生徒会長だもんね。雨宮くんは安心!」
おかしくない? なんで誰も違和感を持たないの?
生徒会がクソなのは事実として、雨宮 嗣海の評価がおかしい。
だって、本当に優しい人間なら、まずいじめをなくそうとするはず。生徒会の悪行を正そうとするはず。
完璧な善人に擬態して、その場しのぎの無意味な優しさを正しく理解して相手に与えてるなら、悪人の悪意よりもタチが悪い。
「ギャハハッ、雑魚すぎだろ〜!」
昼休み。矮小な笑い声がした。
ピッキングして侵入した旧多目的室。窓から顔を出すと想像通り、いじめの現場だった。人気のない校舎裏で小柄な男子生徒を数人が囲んでいる。
多勢に無勢なのが、生徒会。
彼等の背後にいるのは──?
「(かの有名な、雨宮 嗣海……)」
手を出さず、一歩下がって、いたぶる生徒、いたぶられる生徒の両方を嘲笑うようにして見ている。
違和感が、確かに形になった瞬間だった。