まことしやかな恋

 それからも、私は不運なことに彼等の非行や弱者を甚振る場面に遭遇した。

 他校の生徒に万引きするよう恐喝して捕まるところを撮影したり、物静かな女の子を標的に最低の合成写真を作成してばら撒いたり、憂さ晴らしにホームレスを暴行したり、と。……最低も最低。

 証拠をきちんと消さないあたり、親に助けてもらえるという慢心だろう。

 クズの中のクズだと呆れたが、一方で雨宮 嗣海の異質さも際立ち、不信感は増幅されていった。


「嗣海ー、なに飲む? 脅したやつ結構カネ持ってたからなんか買ってくるぜ」

「んー、カフェオレお願い」

「おっけー」


 普段はいじめっ子をパシリにして走らせている人間が、自発的に要望を聞いて、率先して動く。

 誰も彼もが雨宮 嗣海を尊重する。

 雨宮 嗣海は、愛され、許され、慕われている。

 人のカネ、脅して奪ったカネ、承知の上で飲みたいものを答えて、「ありがとう」と微笑む姿は、人間を支配する悪魔のようだった。

 
「(面倒事には、近寄らないでおこ……)」


 興味を持たれたくない。

 そんな私を嘲笑うように、性格の悪い運命は出会いの糸を手繰り寄せた。
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