まことしやかな恋

 あれから数日、嗣海は有言実行と言わんばかりにある事件を引き起こした。

 生徒会のメンバーが、突然、退学になったのだ。黙認されてきた悪行が校内で突如糾弾されて、学校側は火消しをしようとしたが証拠付きで度が過ぎていたのもあり、揉み消すことができなかった。結果、彼らの退学が決まった。

 騒然とする生徒たちと一緒に「びっくりだね」なんて宣う嗣海に、私は全力で呆れた。


「退学させた理由? そりゃあ、受験前に面倒になりそうな種は摘んでおきたかったからだよ。暇潰しにはなったけど、長く付き合うつもりもなかったし、頃合いかなって。あ、俺の密告なのはバレてないから安心して?」


 嗣海の行動に、正義感や罪悪感はない。

 自分の関与は徹底的に疑われないようにして、利用価値のない玩具はもういらないと使い捨てたまで。

 非常に、底抜けに、性格が悪い。

 でも、退屈ではなかった。


「葵子、養護教諭なるの? なんで?」
「学校で唯一、養護教諭が好きだったから」
「え、俺は?」


 俺は? と執拗い嗣海に呆れたり。


「大学、これね」
「は?」
「俺と同じ大学受験して?」


 進学先まで決めてきた嗣海に呆れたり。

 
「一人暮らしだよね?」
「うん」
「この物件の中から選んで」


 住む場所にまで干渉してくる嗣海に呆れたり。

 呆れて、呆れて、仕方がないとため息を零す毎日を送って、気づいたら一緒に大人になっていた。

 呆れるほどに、楽しい毎日だった。




 この先の未来も、どうか変わりませんように。

 そう、子どもみたいに、願っていた──。
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