まことしやかな恋

 ˚‧ 𓆸

 昼下がりの保健室に、白く澄んだ秋の陽が漂っていた。

 文化祭という一大イベントが終わり、半袖で校内を駆け回っていた生徒たちも今は多くがブレザーを着用している。私の業務も通常運転に戻り、穏やかな日常そのものだ。


「……はぁ〜……」


 求めていた平穏な日々が憂鬱なのは何故だろう?

 持参の惣菜パンを齧る。頭の中を憂鬱が占拠しているからか、あんまり味がしない。お気に入りのコロッケパンなのに、思考が邪魔して味覚が鈍らせている。

 文化祭で忙殺されていたのは救いだった。私生活に食い込むほどの疲労で、余計なことを考えずに済んだ。

 大嫌いだと告げた日から、嗣海とは顔を合わせていない。連絡も取っていない。拒絶して、相手もそれを受け入れたんだから、当然の結果だろう。

 謝罪文が届いて、友達に戻れる、なんて馬鹿げた期待もミジンコほどはあったが、一ヶ月過ぎても音沙汰無し。腐れ縁は切れたんだと理解した。

 バーにも顔を出してない。仕事が忙しかったのもあるけれど、もし嗣海がいたらと思うと気まずくて足を運ぶ気にもならなかった。

 マスター、元気かな……。
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