まことしやかな恋
私は腐れ縁の悪い影響を受けてることに密かに絶望しながらリゾットを食べ終えた。丁度、グラスを磨き終わったマスターが対面に立って「どうぞ?」と話を促してくる。
マスター、人生5週目だったりしないだろうか。ゆうに千年は生きてそうだ。
どうしよう。まことしやかな運命よりありえる。
「よからぬこと考えてない?」
「……ない」
「そっか。なら見逃してあげようかな」
脳内でマスター不老不死説を考えていた私は目を泳がせながら口を横に結んだ。人の生き血を啜ってそうとか、全然、毛ほども、思ってないです。
「……誰にも聞かれたくないし、絶対の絶対に口外しないで」
「カウンター席には葵子ちゃんだけ。テーブル席にいるのは常連で既に酔ってるから問題ないよ。口の堅さは信じてもらいたいな」
バーを見渡すと、平日もあって客はまばらだ。マスターの言う通り、カウンター席に座るのは自分だけ。
口の堅さに関しては、心配はしていない。
洗いざらい、とまではいかないが、私は一通りの出来事を掻い摘んで話した。
「……うん、なるほどね。大体理解したよ。大変だったんだね。それで……ハートマークあるの? 見たいな」
「見せるわけない」