まことしやかな恋

 私と嗣海の間に起こった出来事よりも、私の身体に現れたハートマークに興味津々なマスターは目を爛々と輝かせている。この人も欲に忠実だな。

 完全に胸元をロックオンされてる状況。セクハラにならないのは、マスターが好奇心だけで動いていて邪な意図を持ち合わせていないからだ。類い稀なる妖しい美貌も一役買ってる。


「マスター、見た目で得してる人生でしょ」

「急にどうしたの。得はしてるけど、君も見た目で損したことはないでしょ?」

「損も得もない人生だけど」

「自分の容姿で得できること気づいてない?」

「……?」

「あ〜……嗣海くんが苦労するわけだ」


 何かを察した顔をするマスターに対し、私は嗣海が苦労する意味がわからなくて首をひねる。


「いや、なんでもないよ。話を続けよう。それでハートマークが浮き出た葵子ちゃんの悩みは?」
 
「……」


 しかし疑問は軽く流され、話はお悩み相談室の入口に戻った。

 ハートマークと一緒に居座る悩み事を整理する。自分の楽観的な性質上、悩みを抱えることはそうそうない。だからか、悩みを話すのは自身の弱い部分を曝け出すようで苦手だ。
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