まことしやかな恋
それなりに度数のある液体を喉に流す。お酒の力を借りることにした。
「まことしやかな噂が、本当でも嘘でもどうでもいいの。医者でも学者でもない人間が解明するのは不可能に近いし」
「うん」
「この悪趣味なハートマークの消し方とか、運命がどうとか、全部どうでもよくて。ただ……」
「ただ?」
「嗣海と友達でいられなくなりそうなのが嫌」
本心を言葉にしたことで、感情の輪郭が鮮明になる。
覚悟を決めて、友達でいたいと告げた。それをあっさりと拒否されて、どうすればいいかわからなくなった。
腐れ縁の男だとあしらっていたくせに、本当はその男との友情に固執していたなんて気恥ずかしいけど。
「……葵子ちゃんの気持ちはわかったよ。それを踏まえて、俺が思ったことを言ってもいい?」
「うん」
緊張から喉が渇く。
何に緊張してるのか自分でもわからない。見て見ぬふりしていたものを、躊躇なく暴こうとするマスターの視線から、逃げたくなった。
「運命とかハートマークとかは問題の導入だと思うんだ。変化のきっかけにすぎない。だって、君たちは相手に求めているものが違う。だから、一緒にいたいなら、折り合いをつけないといけない」
私が求めているもの。嗣海が求めているもの。
それは、多分、重なっていない。